leçon de peinture japonaise
lesson of Japanese painting
©2020 ATELIER HAYATO NAKAZAWA
日本画とは?
主に岩絵具、水干絵具、墨、膠、和紙などを使って描かれた絵画の総称として現在はそれらを『日本画』と呼んでいます。しかし厳密な『日本画』の定義は難しく、現在でも日本画についての議論は様々な場所で行われています。『日本画』という言葉自体の発端は明治に岡倉天心によって命名されたものが由来とされており、それ以前は『日本画』という正式な言葉自体が存在していませんでした。
昨今人気の伊藤若冲や曾我蕭白などの江戸期の画家や狩野派、円山派などの画家、葛飾北斎なども当時彼らは日本画家と呼ばれていたわけでは全くありません。彼らは町絵師や職業作家(職人)という扱いで存在していました。また現在のような観点から見ても『日本画家』という分類には当たらず、基本的には明治以降につくられた言葉の概念というものが現在の『日本画』の最も適当な表し方となっています。
初期費用は?
日本画の道具は種類も多く非常に高そうに思われますが、最初に揃えるべき道具の初期費用は2万円前後で揃えられます。主に必ず必要なものが絵具と筆になり、これらの費用が上記の値段になります。
徐々に刷毛や絵の具の種類などもヴァリエーションを増やしていければ良いのですが、アトリエ内で制作される場合は最低限必要なものですと絵の具セット(24色セット)1万円前後、筆セット(5〜7本程度)1万円前後で揃えることが可能です。まずはこれらの基本的な道具から揃えていきましょう。
日本画の道具
岩絵の具(いわえのぐ)
岩絵の具とは元々は天然の鉱石を粉砕してつくられた粒子状の日本画用絵具のことを指します。絵具の種類には「天然岩絵具」、近代に入り人工的につくられた「新岩絵具」、「合成岩絵具」 等があります。
水干絵具(すいひえのぐ)
天然の土、または胡粉や白土に染料を染め付けた微粒子の日本画絵具です。伸びがよく、マットな質感が特徴です。水干絵具は、安価な絵具で、なめらかに均一に塗れるため、主に岩絵具を塗る前の下塗りに用います。また、混色が可能な絵具です。
胡粉(ごふん)
牡蠣・蛤・ほたて等の貝殻からつくられた日本画の白色絵具です。胡粉そのものに接着性はなく、膠液を加えることにより支持体に定着します。また、染料を染めつけた水干絵具の原料でもあります。
その他、絵具の発色をよくするためや盛り上げるための下地、仕上げ等、使用方法は様々です。
和紙(わし)
日本画の和紙は非常に多くの種類が存在しますが、現在最も一般的によく使われているものが雲肌麻紙(くもはだまし)と呼ばれるものになります。原料は麻と楮と少量の雁皮を基本としています。表面にみえる繊維のからまりあいが雲肌の様に見えることが名前の由来となっています。厚みがありながらも繊細な色味や表情を出すことにも適しています。
ほかに雲肌麻紙より安価ですが丈夫な高知麻紙や、より薄く繊細な作業に向いた鳥の子紙、白麻紙、などが日本画用の主要な和紙としてあげられます。
筆(ふで)
羊、馬、鼠、イタチ、狸、様々な種類の毛を使用します。毛質により硬さや絵具の含みなども異なりますので用途に合わせた筆の選択が必要になります。
日本画の筆は用途によって細かく使い分けていくため、多くの種類が存在します。日本画を描いていくのであれば清晨堂(せいしんどう)というメーカーの筆がおすすめです。また刷毛などは毛質が良いものでないと絵具を塗っている間に毛が抜けたり、滑らかに塗れないことによって色ムラが発生したりするため質の良いものを揃えることをお勧めします。
絵皿(えざら)
絵具を溶くためのお皿です。油絵のパレットと同じような役割をします。岩絵の具は基本的に色を一色づつ溶いていくため大きなパレットのような面積のものを使用するのではなく、手のひらサイズのお皿を何枚も使用していきます。
膠(にかわ)
動物のコラーゲンを固めたものになります。数百年以上も昔から使われている接着剤にあたり、日本だけではなく西洋、アジアなど様々な場所で使われてきました。
墨(すみ)
墨は、油や松を燃やして採取した煤を膠で練り固めて乾燥したもので、水とともに硯ですり下ろした状態のものを色材として用います。「墨に五彩あり」とも言われるように、黒の中にも多彩な色味があります。骨書きと言われる下書きを線描する際や絵具に混ぜて使うなど用途は様々です。
また日本画で使用する岩絵具の特徴としては絵具に対して番号が記されており、絵具の番数によって同じ色の名称でも色味が全く異なったり、絵具の粒子の大きさが異なるこということが特長です。
写真は5番から14(白)番です。このように同じ色でも番数によってこれだけ色味が異なってきます。これも日本画の画材の大きな特徴です