昨日現代美術の作家の小規模な即売会があったので拝見してきました。
新宿伊勢丹 『抽象 Abstraction by CADAN』
新宿伊勢丹は高島屋、三越などのデパートに比べると現代的で若い人を顧客にした印象があり、画廊自体の扱う作品や企画もそれゆえか現代的です。三越、高島屋では今でも古風な日本画なども多く扱っていますが(もちろん現代美術も扱っています)、割合としては伊勢丹はもう少し現代美術よりな印象です。
そんな展覧会が開かれており、何名か知っている作家もいたので見てきました。初日の夕方にもかかわらず数点がすでに売れていました。
作品価格は十数万から数百万円です。年齢層も20代から80近い巨匠までいろいろいました。
こちらは私と同じ大学で油画科出身の川内理香子さんという方の作品です。非常に人気の作家で個人的にも欲しいと思っていたので初日に観に行ったのですが、即日売れてしまっていました。
こちらは安田悠さんの作品。別の職場で一緒にお仕事をしている先生です。
こちらは高橋大輔さんという方。特に知り合いというわけではないのですが、色んなタイプがいるという一例で。
みなさんどう思うでしょう?あと、値段も結構します。
55万(税込)です。スタバのフラペチーノの1000倍値です。現代美術は、甘くないですね‥。
下は火災報知器を置く台‥ではなく作品です。
またまた結構な値でございます。
で、現代美術会の重鎮菅木志雄先生。
『 WOW!!』破格のお値段!!と思いそうですが、現代美術の作品ではとりたてて高い部類には入りません。そして菅木志雄の作品は軽く1000万を超える作品などざらにあります。
こういった作品を紹介するときによく値段も一緒に公表するのですがこれはとっかかりとして作品鑑賞に興味を持ちやすいと思うからです。正直現代美術を見始めた時私はもっとも観ていて面白かったのは作品ではなく作品につけられた値段でした。
なぜこの巨大な石に釘がぶっささっただけの作品が1000万もするのか?なぜこの五秒くらいで書いたようなクレヨンの乱雑な跡が何百万もするのか?
観ていて内容がわからない以上わかるのは値段のみで、『とにかくべらぼうに高い!!』ということだけはよくわかりました。現代美術の作品を見始めた時ははっきり言って値段以上に興味を引く部分がないというものが殆どでした。でもこんなにするのかっ!!!というのは観ていて個人的には楽しい部分があり、もはやぼったくりとも言えないくらい突き抜けた金額設定は笑いさえ誘うものでした。しかし大事なのはそこで『なぜ、これらの作品はこの値段で売られているのか?』ということをしっかり考え自分なりの結論を導き出すということです。
もしも『これは高いな、アホくさ!』で終わらせてしまうと考えはそこでストップしてしまいます。しかし作品はその破格とも言える値段で実際に売られており売れてもいます。もちろん売る側もその値段で売れることを想定して売場に出しています。
それは売る側が考える値段と買う側が適正と思える金額に落とし込まれる理由があるから成り立っています。なぜそれが適正とみなされる価格になっているのか、菅先生の作品なんか原価100円以下みたいなものもたくさんあります。でも作品の値段は10000倍以上だったりします。そういった理由を理解した上で作品を鑑賞するとよくわからないものも納得がいったり考えて見続けられるきっかけになります。もちろん今では作品自体の良さを理解しながら鑑賞していますが、そうなるにはずいぶん時間がかかりました。
作品の金額設定と現代美術の鑑賞の仕方も近々こちらで説明できればと思っています。
なお今回紹介した川内さんが12月10日から寺田倉庫アートアワードという展覧会のファイナリスト展に参加しています。機会がある方は是非。
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