みなさんこんにちは。講師の中澤です。 長い自粛生活が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? *この文章は2020年5月の緊急事態宣言発令下で別職場からの依頼でお客様向けに書いた文章を再掲載したものです。
外出できないことやアトリエに行けないことなどによりストレスがたまっている方、不安を抱えている方様々かと思います。私自身、外での仕事が非常に制限されているため極端に外出の機会が少なくなりました。 今回はそんな自粛生活のおり、近況や自宅での絵の描き方などについていくつかお話しをしたいと思います。
単に近況を普通に話しても、あまり楽しめないかと思いましたので(楽しむことが目的の配信なのかわからないのですが)現在の状況を考慮して、勝手にインタヴュー形式でお伝えしたいと思います。
では、以下より。
ーまず、自身の制作について近況についてお聞かせください。 最近何か変わったことはありましたか? 中澤 :去年の年末から最近にかけて、計4回財布を拾いました。
ー本当にその財布は拾ったものなのでしょうか? 中澤 :本当に拾ったものです。
ーその財布はその後どうされましたか? 中澤:警察に届けました。
ー警察からは何か言われましたか? 中澤:本当に拾ったものなのかと、3回目以降から聞かれるようになりました。
ー現在自宅で過ごす時間が長く続いていると思いますが、外出できないことに対する不安やストレスはありますか? 中澤:昨今『ステイホーム』が声高に叫ばれておりますので、外出することのほうが自粛警官に襲われる不安を感じてしまいます。
ーご自宅ではどのように過ごされていますか? 中澤:毎日ゆっくり料理を作ったり、のびのびと絵を描いたり、一時期雑誌などで流行った『スローライフ』な生活をまさに実体験している感じです。
ーほかに生活に変化はありましたか?
中澤:元々あまり遅くまでは起きていない生活をしていましたが、さらに寝る時間が早くなりました。
ー現在何時くらいに就寝しているのですか? 中澤:夜8時30分過ぎには床に就きます。
ー朝は何時に起きるのですか? 中澤:午前3時から午前4時くらいにだいたい目が覚めます。
ーその時間に起きて、何か気づいたこと、変わったこと、思うことはありますか?
中澤:午前3時などに目がさめて、外を見るとなんだか世界の深淵を見ているような気分になります。漁師とアナウンサーは何十年も世界の深淵を見てから出社する職業なのかと思いました。
ー制作のモチベーションは現在どのように保っていますか? 中澤:基本的に絵を描くことが仕事なので、いままでとほぼ変わらない状態で続けています。何も描かないと、絵を描かない人が絵を描く人に絵を教えるという、パソコンを使えない人がサイバーセキュリティ大臣になるようなパラドクスが起こるので、そうならないように気をつけています。
ーアトリエの皆さんに対して何かございますか? 中澤:色々大変な時期ですが、若い方はこれを機に、現在の状況を『プレ定年退職』と捉えて今から定年退職後の生活をシュミレートしてみてはいかがでし ょうか? どうです?会社があることのありがたみが分かった方、伴侶がいることに苦痛 を感じ始めた方、体重が増えた方、様々だと思います。きっとこれが60代になってから訪れていたら大変でしょう。それが今、この時期に事前に体験できたということはある意味良かったと思います。来たるべき『本定年退職』に向けて、今の時期は大学受験のように、老後の傾向と対策を練るのが有意義で良い過ごし方かと思います。
ーすでに定年を迎えている方に対しては何かありますか? 中澤:『ステイホーム』
ー今日はありがとうございました。 中澤:ありがとうございました。
ーアトリエの皆さんへー
これが読まれているということは、おそらく無事配信されたということでしょう。初めアトリエのスタッフから生徒のみなさんに向けたコメントを、と求められたのですが、このような時期のためあまりふざけた文章を書くのはと思い、 当初は真っ当な文章を書いていました。しかし初めに書いた文章はあまりのつまらなさに途中で破棄しました。 結果できたもの(残ったもの)がこちらの文章です。
個人的にはどちらを掲載しても良かったのですが、おそらく他の先生方が真面目でコンプライアンスにもしっかり配慮した文章を寄稿してくださっていると思ったので、私はこのような方向性で話を進めました。
自宅での絵の描き方のアドバイスも、描きたければ描けばよくて、描きたくなければ無理して描く必要はないと思います。 私自身自宅にいるときはすべての時間を絵に費やしているわけではありません。 絵を描くことはもちろん生活の一部ではありますが、必ずしもそれがすべてで はありません。この点に関しては作家によって考え方が異なると思いますが、 少なくとも絵を描くことだけにすべての時間を投下することが魅力的な作品につながるとはあまり思っていません。
今の時期は社会も疲弊しており、世の中のストレスを一気に圧縮したような雰囲気を感じますが、私個人としては非常に穏やかで過ごしやすい日々を毎日送っています。このような生活になって思ったことは、定年がきても(定年というものが作家にあるとしたら)わりと楽しく過ごせそうだな、ということでした。
最後までタラタラと全くためにならない話をしてしまいましたが、無事アトリエでみなさんに再会できる日を楽しみにしています。 (解雇とかされてないよね ...私?)
2020年 5月16日 中澤隼人 世界の深淵の片隅から。
自粛期間中にやることがないので仕事用に描いたデッサン。
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